
東京・江東区にある扇橋閘門。水位の高い隅田川と水位の低い小名木川も間にどっしりと座り、海抜ゼロ㍍地帯を水害から守っている。8月の土日は一般公開日。さっそく初日に訪れた。一般公開日ならでは、目の前で観光遊覧船が閘門を潜り抜けていく。

㊧閘門(後扉側)の開放されている状態 ㊨閘門(後扉側)が閉じられている状態
いずれも扇橋閘門の外から見た様子です。

小松橋北詰に設置されている説明プレートです。

閘門の仕組みの図解です。扇橋閘門一般開放の所長さん説明会で使用されたものを撮影させていただきました。非常に分かりやすい図ですので掲載させていただきました。図の右側が隅田川からの流れを受けて高い水位を保った状態の小名木川、左側が明治以降の工業化で大量の地下水がくみ上げられ地盤沈下、水位が低い状態の小名木川。扇橋閘門が設置される前は、河川氾濫のたびに堤防をかさ上げしてしのいでいた。

隅田川と荒川の間に挟まれた江東区。扇橋閘門を間近で見ていると、小学生のころ、社会科の教科書に載っていた「海抜ゼロ㍍地帯」という言葉が、目の前で形となっているような感覚にとらわれます。

扇橋閘門を上から見た図。右が海抜の高い隅田川方面。左が海抜ゼロ㍍地帯。閘門で左側の水位を一定に保っている。

扇橋閘門監視所。4台のカメラを通して船舶の運行を把握。船に指示をし、閘門の開け閉めを行っている。

前扉から船が閘室に入った後、前扉が下ろされ閘室内の水を排水、水位を海抜ゼロ㍍地帯側と均一にする。その間、船舶は閘室内で待機。

㊧前扉が開けられ閘室に船舶が入った直後の水位。 ㊨前扉が閉められ閘室内の水を排出、海抜ゼロ㍍地帯側の小名木 川の水準にまで調節された水位。

水位調整が終われば、後扉が上がり始めます。

上がる後扉。扉に汚れが付着しないよう大量の水が流されて滴り落ちています。

後扉が上がりきれば、前方の信号が青色に変わり、閘室内で待機していた船が再び動き出します。

後扉の下をくぐり船が去って行きます。前扉が上がり船が入って待機、後扉が開き船が出て行く。一連の作業は6分間、これは他の閘門が15分かかるのに比べて、早いそうです。

入れ替わりに、後扉側から小船が入ってくる。こちらの船は、先に前扉側からきた観光船が出て行くまで後扉の外で待機。これらの指示はすべて監視所から発せられている。運河交通の安全を守る極めて重要な仕事。まさに磨き抜かれた、冷静な状況分析力と、的確な判断力。プロフェッショナルの仕事です。なお。通行する船舶から事前連絡などはなく、ぶっつけ本番、運河に常に目を配り、通行する船舶があれば指示を出し、安全に通り抜けられるよう手配しています。

順路に従って見学します。

モニターに目をやりながら船舶の運航状況を即座に把握。

マイクを通して通行船舶に待機などの指示を出す


前扉、後扉、判断を下してスイッチを入れる。


そして、後扉から閘室に入ってきた小船が前扉が上げられ、信号が青色に変わるのを待って待って去って行く。


監視所1階にある非常用電源。






無骨だが実直者の計器類が並ぶ。

港の岸壁みたいです。

開設から37年。人々の暮らしを守る扇橋閘門と職員の絶え間ない戦いを物語る深い錆です。

手袋がいくつも。その分厚さに力強さと頼もしさを感じます。

扇橋閘門正門。日々ここをくぐり、海抜ゼロ㍍地帯を河川氾濫から守るべく働いていただく職員さんに感謝を込めて「ありがとうございます」。
- 2014/08/10(日) 02:11:17|
- 江東
-
-
| コメント:0